現 象>森林火災>爆発により多くの木が倒されました。

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  ツングースカ爆発による森林火災                                              


 

ツングースカ物体の爆発は森林倒伏を起こしたばかりではなく、 森林火災をも引き起こしました。
1992年に現地を訪れたときにも多くの焼け焦げた木がありました。しかし、この地域では森林火災は珍しいものでなく、実際に私達が現地からワナワラに戻 るときもかなり大規模な森林火災が発生しており、見ることができました。
1908年以後はツングースカ異変地域には大規模な森林火災は起きていないそうですが、それ以前の火災は何回か確認されています。その原因は判りません が、ツングースカ異変による森林火災は大爆発の強烈な閃光が枯れたコケ類や草、森林の落ち葉や枯れ枝に火をつけたのが始まりで、その後に熱風が加わり燃え 広がったと推定されています。火災は少なくとも5日間続き、7月上旬の降
水によって消えたと推定されています。(*1)
1961年の調査には科学アカデミー森林研究所の山火事研究の専門家クルバッキー(Kurbatsky.N.P)が参加して森林火災の本格的な調査が行 われています。
その結果は
 1.異変地域で大きな火災の損害を受けたのは高地で川辺や湿地では被害が少ない。
 2.火災の拡がり方が一様でないのは地形と風の影響である。
 3.爆発による放射加熱で発火した森林はストイコヴィッチ山周辺で、比較的小さな面積であろう。
普通の森林火災の被害は可燃性材の実効湿度と風速に依存するといわれています。クルバッキーによって、1908年6月下旬の森林の燃焼拡大の可能条件を明 らかにするためストイコヴィッチ山で観測と実験が行われました。1961年は2週間続いた雨の期間が6月21日に終わり、それからは日中の気温は 25〜30℃になりました。6月27日から7月2日までの湿度は午前8時台が32〜50%、正午前後には15〜19%になりました。
そして森林の点火実験で燃え広がる速さは、無風では1〜1.5m/分、風があると2〜3m/分という結果になりました。
点火実験は湿地でも行われましたが火が拡がることはなかったそうです。(*2)

ツ ングースカの火事ではクーリックにより記録された不思議なことがあり、彼は普通の山火事と似ていないと強調しました。「森林火災がほぼ完全にタイガを荒廃 させた後、乾燥した木が良く保存されていた。色は黒ずんでいなく琥珀色になって22年間も良好な状態を維持しているような他のケースを我々は知らない。こ の木をすばらしい建築資材と薪として首尾よく使った」
1992年、この木々で建てられたのであろう(一応 Andreev に確認しました)クーリックの小屋に泊まりました。確かに火事にあった木とは思えないような材木でした。
Igor Doroshin はツングースカ研究の先駆者が注目したことに注意し、林学と山火事の専門家にこういうことが起こるのか相談しました。その専門家達は一様に、そんなことは ありえない!と応えました。それで Igor は彼等に木を見せるためツングースカ地域へ一緒に行き、これらの専門家達は火事から木の木質部と樹皮が保護されていたことを認めなければならなくなりまし た。しかし、この保存方法は解っていません。

*1 PRELIMINARY RESULTS FROM THE 1961 COMBINED TUNGUSKA METEORITE EXPEDITION
           Florenskiy.K.P   Meteoriteca, Vol.23 (1963)
*2 On forest fire in 1908 Tunguska fall area
           Kurbatsky.N.P    Meteoritika 25 1964

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