植物の異常成長とレアアース |
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KSEによる土壌とピートの化学元素の異常の組織的な捜索が行われたのは1960年代初期からでした。研究者達は通常の隕石の成分である鉄、ニッケル、コバルトを発見する予定でした。ところが隕石の成分の発見はできず、スペクトル分析の結果は代 わりに幾つかのレアアースの濃度増加を示しました。ランタン、イッテルビウム、セリウム、イットリウム(これらはランタノイドと呼ばれるグループです)の 濃度が通常の10〜数100倍でした。レアアースが豊富に含まれているサンプルは爆心地の周辺の北西方向でのみ発見するということが直ぐに分かりました。 この化学的異常はピート層で1908年にピークがありました。(*1) KSE
が更に詳しく調査するため注意が払われたのは、爆心地の西北西方向(John
Anfinogenvが推定したツングースカ宇宙物体の破片が落下した方向)でした。この作業を実行するためKSEの隊員たちはYury Lvov
教授の名をとった「Lvovの沼」を通り、爆心地から西北西にタイガの中を12kmの直線的な経路を切り開きました。1980年代にこの場所を詳しく調べ
たLvov の弟子 Emelyan Muldiyarov
はツングースカ爆発が起こる前には沼ではなく通常の森林だったことを見出しました。これはツングースカ地域で大災害後に劇的に変化した唯一の場所と考えら
れています。従って、その場所は研究者にとって特別に注意を払う価値がありました。長さ12km、幅6kmの区域で彼らは土壌とピートのサンプル1300
を採集しました。これらのサンプルは乾燥させた後、ウラン鉱の調査や他の核関連の仕事をしているノボシビルスクの地質学協会へ送られ、スペクトル分析の専
門家 Lidia Ilyina により測定が行われました。サンプルからはレアアースを含め30の元素が発見されました。 そ
れでもまだレアアースの比率の問題が残っていました。ランタンの存在は、セリウム、ネオジム、プシセオジムなどこの族の他の元素がなければなりません。そ
して岩石の相互の濃度比率はわずかに変動するがかなり安定しています、しかしツングースカでは当てはまりません。ロシアの主要なレ
アアースの化学的専門家の一人 Sergey Dozmorov 教授はこの謎に興味を持ち、Ostraya
山近くで採取された土壌のサンプルをランタン、セリウム、イッテルビウムだけでなくすべてのランタノイドの存在について、オムスクの研究所の化学分析室で
測定しました。Dozmorov
はイッテルビウムの他、ツリウム(Tm)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)が同様に多く含まれていることを発見しました。 Dozmorov はこの研究を更に進展させるつもりでしたが、この顕著な結果を得た後すぐに、夜の彼の研究室で死亡しました。この事件を調べた警察は、単なる事故であったと結論しました。経験豊かな化学者が毒性の化合物により死亡したということです。 レ
アアース濃度の異常は、2001年にも確認されました。KSE のVictor Zhuravlev
はLvov沼からピートの大きな柱のサンプルを取り、ノボシビルクスの3つの独立した研究所でサンプルのスペクトル分析が行われました。その結果、ランタ
ノイド(イッテルビウム、ランタン、イットリウム)の濃度が通常より非常に高いことを確認しました。 *1 Which elements did the Tunguska meteorite consist of ? Copyright (C) 2002-2011 Kamimura,All right reserved. |