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  植物の異常成長とレアアース                                              


 


KSEの創設者の一人ワシリエフ(Vasilyev.N.V)は植物学者の Lyudmila Kukharskaya とツングースカの爆心地近くで採取した土壌から抽出した水が松と小麦の種に急速に成長させる作用があるかを確かめる実験を行ないました。その結果は、発芽を 促進させる作用がはっきりしました。そしてツングースカ地域から発見された35の元素のうち、ランタン(La)、イッテルビウム(Yb)、イットリウム (Y)だけが刺激する特質を持っていることが分かりました。しかし、これだけでツングースカの限られた区域の樹木の異常成長を説明できませんが、レアアー スの問題は興味深いものです。

KSEによる土壌とピートの化学元素の異常の組織的な捜索が行われたのは1960年代初期からでした。研究者達は通常の隕石の成分である鉄、ニッケル、コバルトを発見する予定でした。ところが隕石の成分の発見はできず、スペクトル分析の結果は代 わりに幾つかのレアアースの濃度増加を示しました。ランタン、イッテルビウム、セリウム、イットリウム(これらはランタノイドと呼ばれるグループです)の 濃度が通常の10〜数100倍でした。レアアースが豊富に含まれているサンプルは爆心地の周辺の北西方向でのみ発見するということが直ぐに分かりました。 この化学的異常はピート層で1908年にピークがありました。(*1)

KSE が更に詳しく調査するため注意が払われたのは、爆心地の西北西方向(John Anfinogenvが推定したツングースカ宇宙物体の破片が落下した方向)でした。この作業を実行するためKSEの隊員たちはYury Lvov 教授の名をとった「Lvovの沼」を通り、爆心地から西北西にタイガの中を12kmの直線的な経路を切り開きました。1980年代にこの場所を詳しく調べ たLvov の弟子 Emelyan Muldiyarov はツングースカ爆発が起こる前には沼ではなく通常の森林だったことを見出しました。これはツングースカ地域で大災害後に劇的に変化した唯一の場所と考えら れています。従って、その場所は研究者にとって特別に注意を払う価値がありました。長さ12km、幅6kmの区域で彼らは土壌とピートのサンプル1300 を採集しました。これらのサンプルは乾燥させた後、ウラン鉱の調査や他の核関連の仕事をしているノボシビルスクの地質学協会へ送られ、スペクトル分析の専 門家 Lidia Ilyina により測定が行われました。サンプルからはレアアースを含め30の元素が発見されました。
Ilyina が驚いたのは、いくつかのサンプルでイットリウムとイッテルビウムの濃度が極めて高く、イッテルビウムがイットリウムよりも濃度が高いサンプルがありまし た。地球上の岩石や鉱物ではイットリウムの含有量は常にイッテルビウムの10倍を越えます。これらの元素の含有は彗星の核や小惑星では信じられないことで した。そのため隕石の専門家達には注目されませんでした。
しかし、ある元素がほぼ確実にツングースカ物体の飛翔経路または爆心地と関連するような特異な分布を証明できたら、それはツングースカ物体の一部であった ことを意味するでしょう。スペクトル分析の結果を処理して興味深い成果を得ることができました。イッテルビウム濃度の最大地点はOstraya 山の近くで
John Anfinogenvが推定したツングースカ宇宙物体の破片が落下した地点で、最小値は「epifast」 即ちFast が決定した爆心の中心でした。その上これら2つの地点を結ぶ直線はFast によって計算された最初のツングースカ物体の軌道と一致しました。

そ れでもまだレアアースの比率の問題が残っていました。ランタンの存在は、セリウム、ネオジム、プシセオジムなどこの族の他の元素がなければなりません。そ して岩石の相互の濃度比率はわずかに変動するがかなり安定しています、しかしツングースカでは当てはまりません。ロシアの主要なレ アアースの化学的専門家の一人 Sergey Dozmorov 教授はこの謎に興味を持ち、Ostraya 山近くで採取された土壌のサンプルをランタン、セリウム、イッテルビウムだけでなくすべてのランタノイドの存在について、オムスクの研究所の化学分析室で 測定しました。Dozmorov はイッテルビウムの他、ツリウム(Tm)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)が同様に多く含まれていることを発見しました。
そしてそれらの比率は更に非常に混乱させました。テルビウムの含有量は標準の55倍以上、ツリウムは130倍、ユウロピウムは150倍、イッテルビウムは800倍でした。このようなことが自然界で起こるのでしょうか。(*2)

Dozmorov はこの研究を更に進展させるつもりでしたが、この顕著な結果を得た後すぐに、夜の彼の研究室で死亡しました。この事件を調べた警察は、単なる事故であったと結論しました。経験豊かな化学者が毒性の化合物により死亡したということです。

レ アアース濃度の異常は、2001年にも確認されました。KSE のVictor Zhuravlev はLvov沼からピートの大きな柱のサンプルを取り、ノボシビルクスの3つの独立した研究所でサンプルのスペクトル分析が行われました。その結果、ランタ ノイド(イッテルビウム、ランタン、イットリウム)の濃度が通常より非常に高いことを確認しました。

*1   Which elements did the Tunguska meteorite consist of ?
       Zhuravlev,V.K    Tunguska Vestnik,1996 
*2   Some anomalies of the distribution of rare earth elements at the 1908 Tunguska explosion site
      Dozmorov,S.V    RIAP Bulletin,1999,Vol.5

      Vasiyev,N.V   A Space Phenomenon of the Summer of 1908

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