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  森林の超高速回復と異常成長                                              



1.樹木の異常成長
1958年に再開された調査で、Yury Emelyanov は爆心地に近い場所で爆発から生き延びた木の成長が異常に早いものがあることを発見しました。彼は Valery Nekrasov と共に異変地域を徹底的に調査して、爆発による閃光で火傷を負ったり、爆風で重傷を負った老木までが成長を促進させていました。沼地のコケさえも1908 年以後は早い成長を示していました。
Emelyanov と Nekrasov はツングースカ大災害から生き残った木のために環境改善されたことによる効果だけでは説明できないと結論しました。森林は爆心地の南西と北東側が大きく破壊されましたが、異常成長は主として反対の北西と南東の区域に限られていました。(*1)

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森林の異常回復区域 
(斜線部分)

The Tunguska Meteorite A Space Phenomenon of the Summer of 1908
Vasilyev.N.V


 

 

 

 







 


も し、この効果が被災地において燃焼した植物の灰が肥料になったり、日当たりが良くなったとの関連ならば、このような分布には決してなりません。多少は貢献 したでしょうがその主因でなかったことは明らかです。その上、森林の超高速回復区域の対称軸、南東から北西はFast が最初に決定したツングースカ物体の軌道と一致し、爆心点を通ります。この効果が最も顕著なのはツングースカ物体の軌道の下です。
1992年の国際ツングースカ調査に参加した折、前年イタリア隊が切り倒した樹齢約130年のゴダイトウヒから樹幹円盤を切って持ち帰りました。この場所 は震源の北北東約5.1kmで、異常回復地域からは外れていて、異変後の4〜5年はむしろ低成長となっていて、その後2〜3倍の異常成長になっています。  Go⇒

これは爆発により枝が折れたり葉がむしりとられ、回復までに4〜5年かかったということでしょう。(*2)

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<異常成長の樹幹円盤のサンプル>
ツングースカ爆発前に直径が約0.5mm/年で増加していたカラマツが爆発後には年平均成長率が36倍増加し、18mmになった。


 

 





Sokrat Golenetsky と Vitaly Stepanok はツングースカ地域に落下したのは原始惑星状の彗星のような物体で、効果的な肥料となる元素を含んでおり、それでツングースカ地域の土壌を豊かにしたと考 えました。この仮説を検証するためツングースカ物体の組成と考えられる化合物を作り、Land Reclamatio (農地造成)の研究所で一連の実験を行ないました。彼らは農学の必要条件のとおりに、牧草地芝、ジャガイモ、亜麻で実験を行い、ジャガイモの収穫量は 30%、牧草は20%上昇しました。増加したもののツングースカで発生した36倍とはかけ離れた値でした。
彼らは「爆発の激しい放射能によって生み出された遺伝子の突然変異によって超高速の森林回復の効果を説明する試みは、ツングースカ爆発の『核』仮説が完全 に反証されましたので、真剣に受け入れることはできません」と述べました。しかしこの声明はかなり感情的で、『核』爆発説の首謀者の一人 Alexey Zolotov との口論に起因しているらしいということで、「完全に否定された」というのは誇張であるとのことです。原因が核かどうかは別としてツングースカ地域では遺 伝子の突然変異が発生したということが、専門家の調査によって明らかになっています。従ってツングースカ・タイガの異常に早い回復は遺伝子の現象であろう と考えられています。


*1 Utilizing multivariate analysis for assessing factors influencing the alteration of the rate of growth  of trees in the area of       the Tunguska meteorite fall
      Emelyanov.Y.M  The Problem of the Tunguska Meteorite   Vol.2 1967

*2 ツングースカイベントと樹木―樹幹円盤を用いた生育環境復元―
  竹中千里・米延仁志(名古屋大学農学部) 天界 No.825  東亜天文学会  1994.2 

                                          

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