現 象>岩石・土壌の古磁気の異常

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  岩石・土壌の古磁気の異常                                              



多 くの火成岩は熱いマグマから冷えるときに磁化されます。通常これらの残留磁気の方向はそれが形成されたときに存在した地磁気の場の方向と平行になります。 古磁気の研究は第2次世界大戦後に発達し、大陸移動の理論を確立するのを助け成熟した科学の領域になりました。1971年に地質学上の古磁気調査の専門家 Saulas Sidoras は数学者のAlena Boyarkina に重要な質問をしました。「イルクーツク観測所で記録された地磁気の影響は、ツングースカ地域の土壌にも影響を与えたか?」
この疑問はツングース カ地域の古磁気の異常の発見につながりました。それは長く手間のかかる作業でした。研究者達は600kuの地域から土壌の表面に近いもろい堆積物の北の磁 極から示す角度を記録して、その後研究室で従来の手続きにより自然に残留している磁気を測定しました。この研究からの発見はツングースカ異変地域では通常1つ の残留磁気の代わりに2つの成分が存在するということでした。これらの成分の1つは予測される地磁気の方角と一致するが、もう一方は違うというもので、た しかに異常なことでした。爆心地から西北西に約4km離れたFast による最初のツングースカ物体の軌道の延長上が残留磁気の構造がもっとも混沌としているように見え、従ってそれはツングースカ物体の磁気特性が最も大きい ということになるのでしょう。Sidoras と Boyarkina は「それは妥当と思われる、この効果は正常な地磁気の場と反対方向の磁気の影響を受けた結果だ」と結論しました。

zanryuujiki

左図はBoyarkina等(*1)によるツングースカ異変地域における堆積岩の残留磁気偏角です。ツングースカ物体の 経路に沿って(経路を東南東―西北西と仮定して)磁化されており、西側の半径15kmでばらつきが大きくなっています。

1.爆心地
2.ツングースカ物体の経路
3.ツングースカ異変地域の磁北極方向
 (偏角=10°、伏角=78°)
4.岩石の磁気偏角

 

 

 

 

 

 

ツングースカ異変地域での綿密な調査の結果、古磁気の異常を示す領域の等残留磁気線はOstraya山の周辺で北西から北に及びます。この領域の外側では土壌の残留磁気はバックグランドとの違いはありません。

古磁気異常

左の図は古磁気の異常領域を示し、もっとも強い領域はツングースカ物体の飛行経路の延長に沿っているように見えます。
ツングースカ物体が強力な磁界の供給源であったのでしょうか。

The Tunguska Meteorite:A Space Phenomenon of the Summer of 1908
Vasilyev.N.V  2004

 

 

 

 

Victor Zhuravlev によって実行された計算は土壌表面の古磁気異常が1908年6月30日の局所的な地磁気の嵐の最初の局面を生成したのと同じ原因で生成されたという結論を導きました。Sidoras と Boyarkina によって測定されたツングースカ爆心地周辺の異常な残留磁気域を生成するためには地球の磁界よりも50〜60倍が必要ですが、供給源の高度が数kmであったなら500倍以上必要になるそうです。

ツングースカ事件以外に、隕石落下で地磁気の変化を惹起した例はないと思われます。観測精度が上がっている現在は火球の飛行時や、隕石の落下時に地磁気の変化を調 査するのも重要なことでしょう。

*1  Palaeomagnetic studies in the Tunguska meteorite fall area
              Boyarkina.A.P  & Sydoras.S.D      Geologiya i geofyzika 3 (1974)



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