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次爆発説とはツングースカ異変の爆発が1回だけでなく、複数回あったという説です。複数の爆発が有った場合、爆発による衝撃波の発生位置も複数存在することになり、倒木のパターンにそれが現れるかもしれません。
ツングースカ異変調査の先駆者クーリック(L.A.Kulik)の要請により1938年に、異変中心地の航空写真撮影が行われました。250kuの面積を1500枚の写
真に撮影したそうです。写真には倒木が鮮明に写っていて、倒木の軸方向を根元側に延長すると南沼西部に交点が集中する4つの場所が得られました。これが2次爆発波伝播の中心 地点かも知れないとクーリックは考えたようです。
左図はクーリックの論文中(*1)の図をもとにした ものです。2つの代表的な交点(丸位置)と、直線は倒木の延長線です。
(代表的な延長線だけが記入されている)
EPはファスト(W.G.Fast)による爆心地点です。
ファストは1958〜1961年に行われた大規模な倒木調査のデータをもとに爆心地点を決めました。その調査は異変地域を夫々0.25haの1475の区
域に分け倒木の角度を測るというものでした。
測定した倒木は6万本といわれています。
2つの交点と、ファストのEPが一致しないのは、この図の倒木の延長線が爆心地の近いものを選択してあるからではないかと思います。ファストやフローレン
スキー(K.P.Florenskij)、プレハノフ(.F.Plekhanov)等の調査では爆心地付近36kuの
倒木の角度は全て無視しています。その結果は明瞭な複数の交点は得られず爆心地点はひとつであるとの結論になっています。(*2)
また、地震波や大気波の記録を綿密に調査しても爆発は1回ということが定説になっています。しかし、目撃者の証言の中には複数回の爆発音を聞いたという報
告が多くあります、爆発音がそのまま物体の爆発と関連するものではないでしょうが何回かの爆発の可能性を確実に除外はできません。同時、または非常に短い
間隔で起きた可能性があるとの研究者もいます。
HillsとGodaのモデルによれば爆発は一瞬にして大きな物体が粉々になるのではなく、いくつかに分裂してそれがそれぞれ破裂する可能性を指摘しています。(*3)
G.Long等は1991年にツングースカ異変中心付近の7本の木から採集した樹脂から、ツングースカ物体起源と考えられる微小粒子を検出しましたが、検出した粒子数は場所により非常に異なりました。最も多くの粒子を含んでいた樹脂のサンプルは上図の
←の位置のものでした。これは上図の左丸の中心で低い高度の2次爆発があった可能性があると指摘しています。(*4)低高度での分裂・爆発があったのであ
れば破片発見の可能性が大きくなることになります。
*1 Meteoritnaja ekspeditsija na Podkamennuju Tungusku
v 1939 g
Kulik.L.A Doklady Akad. Nauk SSSR 1940
*2 Predvaritelnyje rezultaty
Tungusskoj meteoritnoj kompleksnoj ekspeditsii 1961 g
Florenskij.K.P Meteoritika
1963
*3 The fragmentation of small asteroids in the
atmosphere
Hills.J.G &
Goda.M.P Astron.J.105 1993
*4 Experimental hints on the fragmentation of the
Tunguska Cosmic Body
Serra.R Cecchini.S Galli.M & Long.G
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