隕石亭雉子星>NOAAの画像から

Home    現 象   名所案内  人名リスト   書籍  珍説奇説  類似現象  隕石亭雉子星  流星音

           NOAAの画像から                                              



古い壊れた真空管ラジオの修理はほぼ出来るようになり、トランジスタ・ラジオも少しは出来るようになった。次はBCL用のラジオだが、これは自分の技術と 知識ではまだまだと思っていたのだが、いつか修理してやろうと集めていた。1970年代に大ブームだった頃のBCLラジオが今また、その頃の10台から 20台の中高年にブームとなって、程度の良い中古品はあっと言う間に売れてしまう。この御三家はソニーのスカイセンサー、松下のクーガー、東芝のトライ エックスだ が、スカイセンサーICF-5900とクーガーRF-2200が
当時の中学生・高校生に絶大な人気があった。
9月頃から少し時間がとれるようになり、東芝のトライエックスの安い機種が2台あるので、まずこれから修理することにした。2台から生きている部品を取り 出して1台にまとめればなんとか使い物になるくらいに修理できるだろう、とやってみたら、意外にも2台ともまともになった。そこで自信をもちスカイセン サーの初代ICF-5500も2台あるのでこれもやってみたら、2台とも生き還った。1台はカスタムのICの不良だったが、現在入手出来るわけがないので トランジスタと抵抗器でICと同じ動作をするようにして組み込んだら元通りになった。憧れのICF-5900も生き還り、結局使えるBCLラジオが10台 以上になり、通信型受信機が2台あり、さて今夜はど のラジオを聴こうかな、たまには真空管ラジオにも火を入れてやらなければならないし、と贅沢な悩みになった。家電メーカーの作るラジオは音質が良く、とく にFMの音がきれいだ。それで修理したラジオを使う頻度が多くなり、 はじき出された1台の広帯域ラジオが何かに使えないかと考えた。

このラジオは長波の100KHzからマイクロ波の3GHzまで受信できるので、流星がマイクロ波を発生させているかを 調べるため、6年前に観測用に買ったものだ。だが3GHzを受信してみると雑音が酷く、たとえ流星が放射しても分らないだろうと諦めてしまった。世界で誰 もやっていないのは理由があることだ(もっともこの理由かどうかは分らないけれど)。このラジオのいちばんいい利用法を考えていたら、ラジオと同時に買っ たVHFからSHFまで受信できるディスコーン・アンテナが納戸の隅にあった。これで閃いた、人工衛星の電波を受信してみようと思った。ただ受信してみる だけでは実用性がないので気象衛星の画像を受信すれば気象解析に役立つだろうと思った。
「ひまわり」の画像は日本付近の解像度が低く不満だった。アメリカの気象衛星NOAA(ノア)は極軌道でいつでも受信出来るわけではないが、現在NOAA -15、17、18、19の4機が観測しておりそれらが1日にほぼ2回づつ受信可能な日本の上空近くに来る、約10分間だがそのときに日本付近を撮影した 画像を受信できる。「ひまわり」は36000km離れたところから撮影しているが、NOAAは810km、この差は大きい、地上に近いため雲などが詳しく 調べられる。また「ひまわり」の観測では得られない気温・水蒸気量の鉛直分布やオゾン量のデータが含まれている。

とにかくやってみようと11月12日、アンテナを屋根に取り付けるのに1時間、アンテナの同軸ケープルを家の中に引き こむためにアルミサッシをヤスリで加工するのに1時間。受信機からパソコンに接続するケーブルも探すと出てきて、買わずにすんだ。

NOAA翌日13時 13分過ぎにNOAA-18の信号電波137.9125MHzに受信機を合わせて、待っていると雑音の中からピーピーという信号音が聞こえてきた。信号音 を PCに入れ、受信を開始する。やがてモニターの上部からモノクロの走査線が表れ次第に画像らしくなってゆく。南から日本列島の東側を通り、10分程で北の 空から消えていった。
受信した画像を多重波長分析で擬似色をつけたものがこの画像である。ノイズがかなり入っているが北海道北部と関東地方のはるか東の低気圧に伴う雲が見られ るし、自宅付近(黄色の十字線)の中・高層の雲の様子も分かる。

 

 

ノイズを少なくしもっと綺麗な画像を得るにはアンテナを変えたほうがいいようだ。NOAAの電波は右回りの円偏波を 使っている。これに適したのはQFH(Quadrifilar Helical)アンテナがいいらしい。塩ビのパイプ1mと銅線または銅パイプが5mもあれば作れそうだ。

一 応何とか受信できるようになったが今回新しく購入したものはアンテナの固定用金具だけで、数百円の出費ですんだ。自分の周りを見渡せばいろいろ転がってい る部品もあれば、何年も使用していない電気機器もある。もう少し頭を働かせれば眠っている物でまた別の心ときめくような体験をすることができるかもしれな い。

それか何度もディスコーン・アンテナで受信を試みたがどうしてもノイズが入る。どうも円偏波のフェージングによるものらしく思えたので、結局QFHアンテナを作ることにした。が、材料費2,000円ほどで作ったもののあまり効果がない。これはど うしたものかと数か月悩んだが、よく分からない。こういうときは悩んでいないで、また新たに作ることだと気持ちを切り替え、更に材料費を落として 1,000円以内でQFHアンテナの2号機を製作した。 その効果はてきめんで、受信音がはっきり強くなったし、受信画像も衛星の高度が15度以上だとほ とんどノイズの影響を受けなくなり、綺麗になった。

せっかくこんな優れた情報源が頭の上にあるのだから仲間にも知ってもらおうと、4月14日の日本気象予報士会・新潟支 部の総会で発表することにした。飲み会前の話題提供といったところだ。

QFH









 

 

 

 

        QFH アンテナ2号     

 


  2012 年4月6日16時16分
 NOAA15 
多重波長分析画像


Top に戻る

Copyright (C) 2002-2011 Kamimura,All right reserved.