隕石亭雉子星>太刀川喜右衛門が見た彗星 Home 現 象 名所案内 人名リスト 書籍 珍説奇説 類似現象 隕石亭雉子星 流星音 太刀川喜右衛門が見た彗星 |
---|
「やせかまど」の彗星の記録は太刀川喜右衛門が純粋な好奇心からの科学的な記録で、私は非常に興味を持ち調査をしました。「やせかまど」の復刻本は解説付きで小千谷市教育委員会で購入
できますが、彗星についての解説はありません。「やせかまど」の彗星の記述は次のようなものです。 以上の記述の他に「三才図絵」(「和漢三才図会」のことと思われる)にあったという北斗七星の図に彗星の位置と尾の様 子が描かれています。「…漢書等に星のことがいろいろあったが、天変はよいこととは書いてない。けれども、豊作の年に逢ったのは、まれなことであったろ う。凶が変じて吉になったのであろうか」。太刀川喜右衛門はこんな感想も記しています。 1811年には2個の彗星が発見されています(1811T、1811U)。この2つの彗星以外に1811年に近日点を 通過した彗星は記録されていません。喜右衛門の観察によると1811年8月(新暦)下旬から、2ヶ月以上も肉眼で見えていたことになります。 1811Tは9月12日、1811Uは11月11日に近日点を通過していますので、「やせかまど」の中の彗星は1811Tと考えられます。1811Tの軌 道要素からパソコンでシミュレーションした結果は、喜右衛門が「三才図絵」に記入した結果とよく一致します。尾の方向も合います。合わないのは喜右衛門が 8月3日(旧暦、新暦9月20日)に記した位置です。仮に3日を13日にすると位置は一致します。これは喜右衛門の勘違いか、後世の人 が写し間違えたのでしょう。
太刀川喜右衛門が「三才図絵」に記入した (「やせかまど」片貝町郷土史研究会
1811Tは発見者の名をとってフラエルゲス
(Flaugergues)彗星と呼ばれていますが、19世紀最も有名な彗星ということでGreatCometとも呼ばれています。1811年3月25日
に発見され、翌年の8月17日までの観測記録が残されています。尾は最大25度の長さに見えたといい、まさしく大彗星でした。明るく見えたのは初秋で、し
かも夕方の空に現れたということもあって多くの人が日記や記録に残しているようです。天保の改暦を命ぜられた足立佐内も観測していますし、他の新潟県関係
者では村松藩の瀬戸方棟梁、道川忠治の日記にも記されているようです。 Copyright (C) 2002-2011 Kamimura,All right reserved. |