隕石亭雉子星

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           天燈の降りるところ                                              



隕 石に興味があるため、親しくなった人には変わった石があったら教えて、と日頃から言っている。
昔のことだが、仕事で訪問した、ある事務所で凝りもせず馬鹿のひとつ覚えのように言うと。
「ああ、あそこにある」
「ああ、あそこね……」
同じ部屋にいた2人が事もなげに言った。
慌てたのはこっちである。この辺には隕石の落下記録はない筈だ。場所を尋ねると、十日町市の「鉢の石仏」だという。ちょっと拍子抜けの感じになった。「鉢 の石仏」なら何回か行ったことあるのだが、隕石があるとは聞いたことはなかった。
「鉢の石仏」とは新潟県十日町市大字真田甲にあり、元文三年(1738年)に泉州小林山蔭涼寺の六世住職明屋有照によって開山された霊場である。明屋和尚 がこの地に「天燈」が降りる姿を目撃して開山したものであるという。大阪の和尚さんがどうして夜の山村の奥地にいたのだろうか、などという疑問は考えない ことにしても、この「天燈」とはなんだろう。……これが隕石だと件の2人は言うのである。そして、そこにある「天燈の石」は隕石だという。私はすぐ近くで 「天燈の石」を見たことがあるが、球形に加工した石で、残念ながら隕石ではない。
それどころか、「天燈」は明屋和尚が見ただけでなく、今でも降りてくるのだという。
実際に見たという人も多く、大正年代には境内の小庵にいた庵主が「天燈」が降りてくると知らせてくれたので、近所の人は時折見ることができたとのことであ る。
「天燈」の降りてくる様子については次のようだという。
星のような光が天の彼方から流れるように降りてくる。そして、途中で静止し、静かに輪舞するかのように揺れる。その後また静かに下りてくる……それを何度 か繰り返しながら降りてくる。速度は降りてくるにしたがい緩やかになる。「天燈」の大きさは星から電球さらに満月のように降りてくるに従い大きくなるが、 地上に触れる瞬間は急激に大きくなり、あたり一面が明るくなるのだという。色は表現しがたいのだそうだがオレンジ色に近いようだ。
「天燈」の降りる時期は初夏から晩秋がおおく、時刻は午後10時から12時ころまでで、月のない澄んだ夜が多い。年間に4〜5回降りてくるというのだか ら、かなり見やすい特異現象といわねばならないが、残念ながら私は見たことがない。
 

似 た現象が青森県浪岡町の梵珠山にもあるという。そこでは「お灯明伝説」があり梵珠山山頂付近に、不思議な光が見えるという。見える日が決まっていて旧暦7 月9日深夜から10日未明にかけてだという。とくに雨上がりに見えることが多いらしい。目撃者も多く、町おこしのイベント「火の玉探検ツアー」も実施され ているとのことだ。 

「天 燈」・「お灯明」として考えられるのは球電現象ではないかと思われるのだが、この現象にしてもプラズマ説をはじめとして多くの説があり解明できていない自 然現象なのだから想像でしかない。
もし球電現象であるなら、これだけ出現頻度の高い場所は球電現象を解明するのに重要な場所といえる。「火の玉探検ツアー」から一歩踏み込んで「天燈研究 所」か「お灯明研究所」
設立してもらいたい。その折はぜひ私を雇って欲し い(なんでもします)。

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