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ただひとこと「薔薇」とだけ、 夜空にもバラの花がある。オリオンの近く、『一角獣座』のなかにある『バラ星雲』がそれである。 天文台で撮影された『バラ星雲』があまりに見事なものだから、簡単に写るものと考えていた。ところが、難物だった。淡 くてなかなか写ってくれないし、望遠鏡を通しても見えないのだから狙いを定めにくい。なんとか鑑賞に堪えるだけの写真になったのは'95年の12月の撮影 だった。『バラ星雲』の中心部にある星の配列をよく覚えておき、その星の集まりを目当に望遠鏡を向け、望遠鏡にカメラをセットしてピントを合わせる――といってもカメラのファインダーをのぞいても星はどうやってもボケていてどこでピントが 合っているのかさっぱり分からない。そこでナイフ・エッジ法というカミソリの刃を使って合わせる。簡単だが、原理的にぴったりと合うはずだ。こうして1時 間も露出して撮影したネガには大きくバラが写っていた。
初めてまともに写った バラ星雲
暗黒の宇宙に浮かぶバラの花、もし宇宙船で近くに行けたらどんな眺めだろう。宇宙船の窓から見える星は凍りついたよう
に瞬かない、無数の星達は美しいはずだが生物の気配は感じられない――無常の世界。特殊なフィルターを通して浮かび上がる赤外線の像、無数の星を背景に浮
かぶ生命を宿したかのような赤い花。 いつ咲くか判らない宇宙の赤いバラ――それなら野草よりもバラのほうがよくにあう。 |